NRF Asia Pacific 2026 現地レポート

2026年6月2日から4日にかけて、シンガポールのマリーナベイサンズにてNRF Asia Pacific 2026が開催されました。MiraklはNRF APACが選ぶ「Innovator Showcase (次世代小売を担う選出企業)」の一社に選出されて、ブースを出展しておりました。私、新関も3日間現地にて参加いたしましたので、3日間での経験を現地レポートとしてお届けします。
役職者同士が集う、高密度な3日間
NRFのレポートによると、参加者の9割近くが購買の意思決定に関与する役職者であり、私個人も現地で役員の方やCEOの方とお話しさせていただく機会に恵まれました。会期中は日本人参加者向けのネットワーキングイベントや、エグゼクティブディナー、現地企業の視察など、NRF主催以外の周辺イベントも多く開催されており、情報収集と関係構築の場として機能していました。
今年のテーマ:「The Next Now(次世代に備えよ)」
カンファレンス全体のテーマとして掲げられたのが「The Next Now」という言葉です。
APACは若くデジタルネイティブな消費者が多いこともあり、新しい購買行動が広がるスピードが他の地域とは桁違いに速く、2035年までに36兆ドル規模という世界最大の消費地域になることが予測されています。一方で、APACは非常に多様性に富んだ地域でもあります。国ごとに市場の成熟度も消費行動も大きく異なります。
「未来をどう予測するか」ではなく、「起こりうる様々なバージョンの未来にどう備えるか」が重要であるというメッセージが印象的でした。特にAIの登場で変化のスピードが加速している今、複数のシナリオに同時に対応できる体制をつくることの重要性が、このテーマには凝縮されていたように感じました。
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注目のキーワード:「AI」「エージェンティックコマース」
出展企業を見渡すと、AI関連の事業を手がける企業が目立って多く、社名に「AI」を冠している会社も各所に見られました。業界全体が、AIを会社取組のど真ん中に据えたフェーズに入っていることが、展示フロアを歩くだけでも伝わってくるような雰囲気でした。
そして会期中、特に注目のキーワードとして語られていたのが「エージェンティックコマース」、AIエージェントを通じた購買です。オープニングのセッションでは、これを「小売業界を再構築しつつある、注目すべきトレンド」と位置づけ、各企業が今すぐ探求・議論すべきテーマとして提起されていました。
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満員御礼・立ち見が出たMirakl × Myerセッション
そんな中、Miraklでは、弊社Chief AI OfficerのAnne Claire(アン クレア)とオーストラリアの老舗百貨店Myer社のデジタル責任者Warwick氏の対談セッションを実施。 「エージェンティック・コマースの時代を勝ち抜くために:リテール事業者の可視性とコンバージョン獲得体制の重要性」というタイトルで、「エージェンティックコマース」が引き起こした変化とその対応を、事業者目線でWarwick氏にお話しいただきました。
会場は満員御礼で、立ち見が出るほどの盛況ぶり。エージェンティックコマースへの関心の高さを改めて実感しました。
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Warwick氏が語った内容は、具体的で非常にリアルなものでした。
2年前、LLM(大規模言語モデル)経由のトラフィックはほぼゼロだった
2025年4月頃から急速に増加し始め、今も成長が止まる気配がない
AI経由の顧客は、他の流入元と比べてコンバージョン率が2倍になっている
「AIは単なるチャネルではない。明確な購買意図を持った顧客と出会うための入口になりつつある」。Warwick氏のこの言葉が、本セッションの中で最も印象に残った一言でした。
そしてこのセッションでは、エージェンティックコマース時代に小売業者が直面する3つの課題も語られていました。
1. 品揃えの幅 消費者とAIの対話に参加するチャンスを得るためには、顧客の意図に応えるべく、可能な限り多くの商品ラインナップが必要です。
2. 信頼性 消費者だけではなくAIからもブランドの信頼性が評価されるため、価格の競争力、バリエーションの充実、欠品のなさ、アフターサービスといった信頼の積み重ねが求められます。
3. データの成熟度 ユーザーの意図や意向、その背景に対応できる情報がなければ、AIは商品を提案できません。エージェントが必要とするレベルのデータを整えることが急務です。
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自社の力だけでこれらの課題を解決するハードルは非常に高く、Myer社はMiraklのマーケットプレイスプラットフォームを活用することでその解決を目指しています。(より詳細な内容をご覧になりたい方はこちらをご覧ください)
3日間を終えて:「当たり前」の重さを再確認した
3日間、様々なセッションを聞いて思ったこととして、大事なのは「当たり前のことをちゃんとやること」だということです。品揃えを整え、信頼を築き、データを磨く。これらをやり続けることが、エージェンティックコマースの時代においても本質的な競争力になる。 最後に、未来の絵空事ではないという現実を突きつけられた気持ちになったデータをご紹介させてください。
APAC消費者の39%が、すでにオンラインショッピングでAIを活用している。未利用者の40%も、今後利用意向がある。
エージェンティックコマースは、一見すると「先進的な取り組み」に見えるかもしれません。でも、もうマスマーケットに近づいています。「それぞれの企業がこの事実を受け止めて真摯に向き合うべきテーマ」という実感を、シンガポールから持ち帰ることができました。
現地でご一緒させていただいた企業の皆様にはこの場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございました。引き続き、日本のEコマース変革に向けて真摯に取り組んでまいります。
Miraklは今後も、エージェンティックコマースの知見や最新事例を発信してまいります。 ぜひLinkedinをフォローください。
