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ドロップシップとマーケットプレイスの違いとは?

Fareeha Ali - 2022年8月10日
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*文章内のリンクは海外サイトのものとなります。あらかじめご了承ください。

eコマース事業を展開しており、品揃え拡大戦略を模索しているとすれば、ドロップシップとマーケットプレイスの違いについて疑問に思うかもしれません。

まずは、これらの類似点から見ていきましょう。ドロップシップやマーケットプレイスを利用したビジネスでは、小売業者に代わり、サプライヤーが直接顧客向けに商品を出荷するため、小売業者は棚卸資産を抱える必要なく、オンライン上で商品を販売することができます。ドロップシップとマーケットプレイスは、どちらも既存のeコマースチャネルの収益化と運転資金コストの削減をサポートするビジネスモデルです。 

これらの用語は同義語のように使われることもありますが、ドロップシップとマーケットプレイスには重要な違いがあります。ドロップシップとマーケットプレイスの根本的かつ最大の違いは、名義上の販売事業者と価格設定者です。ドロップシップモデルでは、小売業者が名義上の販売事業者であり、商品価格を設定しますが、マーケットプレイスモデルにおける名義上の販売事業者と価格設定者は、サプライヤーなのです。 

本ブログでは、それぞれのモデルの詳細と、両者の主な違い、ドロップシップとマーケットプレイスを併用して品揃えと収益性を最適化する方法をご紹介します。 

ドロップシップの定義と仕組み

ドロップシップとは、eコマースにおいて、小売業者が取り扱う商品を自社倉庫で在庫として保管しないフルフィルメント手法の一つです。商品を販売する際は、「ジャスト・イン・タイム」方式でサプライヤーから購入し、そのサプライヤーから購入者宛に直接商品を発送してもらいます。

ドロップシップビジネスでは、小売業者が商品を物理的に所有することはなく、商品が売れるまでその商品を購入する必要はありません。しかし、名義上の販売事業者として、小売業者が小売価格やマージン、販売促進、カスタマーサービスに対する責任を担います。ドロップシップは、小売業者が運転資金を削減しつつ、ポートフォリオを管理することができるビジネスモデルです。

ドロップシップモデルは、特に家具のような場所を取る商品など、企業の既存のフルフィルメント方式に適しておらず、棚卸資産の管理コストが高い商品カテゴリーで最も幅広く採用されています。また、購買調達部門がマーケットプレイスではなくドロップシップ契約を結ぶことで、商品の値引き交渉を成立させられる場合にも、ドロップシップモデルが採用されます。

ドロップシップモデルのメリット

ドロップシップモデルにより、在庫リスクを軽減し、キャッシュフローを最適化し、また倉庫の拡張や増員の必要性を削減できるため、従来の卸売モデルよりもビジネスの収益性が向上します。それに加え、ドロップシップモデルには、以下のようなメリットがあります。 

  • ブランドコントロール:ドロップシップモデルでは、最終顧客がサプライヤーと接触することがなく、商品の販売と販促活動は完全に小売業者の管理下に置かれます。 

  • 価格とマージンの管理:ドロップシップモデルでは、最終的な販売価格とマージンを設定するのは小売業者であるため、売上高と棚卸資産を常に一致させておくことができます。

  • 返品とカスタマーサービス:サービス要請から返品管理までのプロセスにおいて、小売業者が最初のサポート窓口となります。

マーケットプレイスの定義と仕組み 

オンラインマーケットプレイスでは、サードパーティー販売事業者が小売業者の既存のeコマースサイトを介して最終顧客向けに直接商品を販売します。販売取引が成立した際のやり取りを促すのは小売業者ですが、売買契約はサプライヤーと購入者の間で直接交わされます。 

マーケットプレイスビジネスでは、サプライヤーが名義上の販売事業者となるため、サードパーティーであるサプライヤーが小売価格を設定し、カスタマーサービスを担います。小売業者はそのサイト上で買い手と売り手をつなげる存在であり、信頼できるサードパーティーパートナーが、小売業者の商品と並べて最終顧客向けに商品を直接販売することを認めています。ドロップシップの場合とは異なり、マーケットプレイスモデルでは、購入者とサプライヤーが直接やり取りを行います。

マーケットプレイスビジネスでは、小売業者が、販売事業者の出店、カタログ管理、顧客サービスなどの業務の大部分を信頼できる審査済みサードパーティーサプライヤーのネットワークに委託することができるため、ドロップシップビジネスよりも拡張性の高いビジネスを展開できることが一般的です。また、マーケットプレイスでは価格の透明性が高く、サードパーティー販売事業者同士が互いに競争できるため、品揃えが拡大することに加えて、より良い価格や、より利便性の高い配送オプションが提供されるなど、購入者にとってもメリットがあります。

マーケットプレイスモデルは、商品性の検証・確認やロングテール商品の拡大を目的として、マーケットプレイスを補完できる新たな商品カテゴリーの品揃えを増やす場合に最も一般的に採用されています。しかし、在庫切れによる売上減少のリスクを軽減するため、自社のエンタープライズマーケットプレイスで主力商品カテゴリーの取り扱いを始める小売業者も増えています。

マーケットプレイスモデルのメリット

企業は、品揃えの強化による収益増加、買い手と売り手のエンゲージメントの向上、サードパーティーサプライヤーへ委託する業務範囲を広げることによる業務効率化を目的として、マーケットプレイスを立ち上げ、全体的な収益性を向上させています。

  • スピード:マーケットプレイスでは、ドロップシップのような手間のかかるプロセスを伴わない効率的な方法で販売事業者アカウントを作成し、迅速にカタログを統合するほか、棚卸資産をシームレスに更新することができるため、新たな商品カテゴリーにも素早く乗り出すことが可能になります。

  • 優れた拡張性:サードパーティー販売事業者が多くの責務を担うことになるため、小売業者は品揃えの拡充と運営能力の強化に集中することができます。

  • 高い俊敏性:信頼性が高く、独特で、ブランドに合ったサプライヤーから顧客が求める商品が提供されるように、継続的に商品を厳選することで品揃えと価格を調整し、顧客のニーズを満たすことができます。

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ドロップシップとマーケットプレイスを1つのeコマース戦略に統合する方法

さて、どちらも様々なビジネスニーズに応えられる優れたビジネスモデルと思われたかもしれません。実際、その通りです。ドロップシップとマーケットプレイスは、どちらも対象市場や品揃えを拡大させられる重要な仕組みです。幸い、適切なテクノロジーがあれば、どちらのモデルを採用するべきか悩む必要はありません。

Miraklを使えば、マーケットプレイスとドロップシップを融合させたハイブリッドモデルで、両方の良い部分を取り入れることができます。

マーケットプレイスとドロップシップを単一のプラットフォームで実現すれば、ドロップシップビジネスを通じて既存のサプライヤーとの取引を増やしながら、マーケットプレイスビジネスからは、サードパーティー販売事業者とともに新たな商品カテゴリーへ進出することが可能になります。つまり、サプライヤーの新規参入に必要なマニュアル作業の負担が少ないために拡張しやすく、より効率的で拡張性の高いドロップシップオペレーションが実現します。それに加えて、新たな商品カテゴリーのテストと確認、ロングテール商品の収益性の強化と在庫切れの解消をサポートする、俊敏かつ収益性の高いマーケットプレイスビジネスを立ち上げて、その二つを両立させることができるのです。

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このようなハイブリッドのアプローチで自社ビジネスの成長を図っている、フランス初のB2B自動車マーケットプレイスであるAniel社の例をご紹介しましょう。

Aniel社はマーケットプレイスを開設後にとてつもない成長を遂げ、開設から3年間で、同社のマーケットプレイスからは新たに6500万品目以上の商品が出品されるようになっています。

しかし、新たな戦略的商品カテゴリーに進出するにあたり、同社は2つの問題に直面しました。1つは、該当商品を販売している特定のサプライヤー群がドロップシップモデルを希望しており、マーケットプレイスへの参加を募ることができなかったことです。もう1つの問題として、競争上の理由から、このように厳選された商品カテゴリーの価格は、Aniel社側で管理する必要がありました。

この状況に対する理想的な解決策は、マーケットプレイスとドロップシップのハイブリッドプラットフォームでしょう。マーケットプレイスでは、今まで通りのスピード、規模、俊敏性を維持する一方で、ドロップシップビジネスも展開し、該当の商品を扱うサプライヤーにも参加してもらえる環境を提供しながら、自社で管理すべき部分はそのまま管理下に置いておくことができるのです。

結論として、ドロップシップとマーケットプレイスには多くの共通点があり、どちらも棚卸資産の管理負担が軽く、利益と規模の拡大を阻む問題を解消することができるビジネスモデルです。両者の最大の違いは、単純にモデルで対処可能な基本的なビジネスニーズにあります。

ドロップシップは、以下を目指す場合に推奨されるモデルです。 

  • 既存の主力商品カテゴリーの価格とマージンを今まで通りに管理する

  • 主力商品カテゴリーにおける商品管理コストを削減する

  • 顧客との直接取引に対応できない、あるいは対応したくない重要サプライヤーのニーズに応えながら、収益性も向上させる

それに対し、マーケットプレイスは、以下を目指すビジネスに理想的な、俊敏性と拡張性の高いモデルです。

  • 顧客のニーズに素早く対応する

  • 新たな商品カテゴリーをテストする、またはより良い価格を導く

  • サードパーティー販売事業者に委託する業務を増やし、業務を効率化する

ドロップシップ、マーケットプレイス、ハイブリッドアプローチにかかわらず、Miraklはお客様が自社のビジネスにとって戦略的に不可欠なモデルをすぐに取り入れて始められるようサポートします。今すぐ、Miraklまでお問い合わせください。

Originally published June 13, 2017

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Fareeha Ali,
Director of Competitive & Market Intelligence

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